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2008年4月アーカイブ

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 昨日の赤旗文化欄「月曜インタビュー」に岩波新書「中国名文選」の著者・興膳宏さんの記事が載っていました。 当方も最近読みましたが、インタビューでも紹介されているように、「顕著な社会性を持っている中国文学の特徴を、常にアンダンテ(ゆるやかに)の話し振りで語られている」印象でした。西鶴や芭蕉に大いに影響を与えた李白「春夜 桃李の園に宴するの序」や蘇軾「赤壁の賦」、陶淵明「桃花源の記」など超有名ところの解説ももちろんそうですが、むしろ少しマイナーの劉勰「文心雕龍」の清冽さや李清照「金石録後序」の深い悲しみを説く部分に心打たれました。その「文心雕龍」から引いてみます。

 春秋はこもごも序し、陰陽はいたぶ。物色の動けば、心も亦たゆらぐ。けだし陽氣きざして玄駒げんく步み、陰律いんりつりて丹鳥たんちょうしゅうす。微蟲びちゅう猶お或いはかんに入る。四時の物を動かすこと深し。若し夫れ珪璋けいしょう 其の惠心けいしんぬきんで、英華えいか 其の清氣せいきひいづ、物色の相召あいまねくに、人 誰か安きをん。
 是を以て歲をおさめ春を發すれば、悅豫えつよの情び 滔滔とうとうたる孟夏もうかは 鬱陶うっとうの心る。天高く氣清くして 陰沈いんちんこころざし遠く、霰雪さんせつはて無くして、矜肅きょうしゅくおもい深し。歲に其のもの有り、物に其のかたち有り、情は物を以てうつり、は情を以てはっす。一葉いちようすらあるいは意を迎え、蟲聲ちゅうせいも心を引くにる有り。いわんや清風せいふう明月めいげつと夜をおなじくし、白日はくじつ春林しゅんりんあさともにするをや。

 対句など駆使した六朝美文の典型ですが、個々の語釈を超え、読んでみるとすごく論理的なのに驚かされます。こうした、季節の移り変わりの捉え方は、情緒的、感覚的な日本人のそれとどこか異なるものなのでしょうね。
 なお、引用は、繁體版文心雕龍中央研究院漢籍電子文獻)の白文から作成しました。(Wikisource 中文版にもあります。)

 身内の結婚式で、乾杯の音頭とりをしました。晴れがましい席での挨拶は苦手で、いつも適当にして、後で不評を買うのですが、そうしたドジは許されないと脅されて、今回は、予め原稿をしたためました。

 本日は、乾杯の音頭を仰せつかりましたが、その前に一言二言述べさていただくのをお許しください。実は、私こうした席の挨拶では、アドリブでは何を言い出すかわからないと家人から堅く戒められておりますので、今日は原稿を読ませて頂きます。

 さて、新婦の思い出と申しますと...(略)...その子ども達も、一人、二人と一人前になり、家庭も持ち、...(略)...、感慨を新たにしているところです。

 閑話休題はなしはさておき、実は、私、とある下町で町医者を生業なりわいとしています。長年、子どもからお年寄りまで診るこうした稼業をしておりますと、姪や子ども達の成長に合わせて、診ている患者さんも大きくなり、診察に来ていた子どもも最近結婚、その生まれた子どもを診る時など、その若い夫婦に、つい身内を連想し、お説教じみた診療になりがちです。

 また、更に年齢を経て、二人そろって仲良くデイケアに来られる高齢のご夫婦を見ているとこれはこれで燻し銀の光沢が感じられ、先日の結婚式に新婦のお父さんが、白楽天の「比翼の鳥、連理の枝」との詩句をいただきましたが、その思いをいっそう深くしている次第です。


 その白楽天に対抗するわけではありませんが、時代は少し下がりまして、宋の時代の詩人、蘇東坡が、中国の有名な湖、西湖を詠った詩を紹介したいと思います。


水光瀲灔れんえんとして晴れひとえに好く

山色空濛くうもうとして雨も亦奇なり

若し西湖を把つて西子に比せば

淡粧濃抹総て相いよろ

水の色はキラキラ光って、晴れればよい風景である

山の色は薄霞だが、雨の景色も格別である

薄化粧であれ、厚化粧であれ、越の美女、西施に比べてみても、西湖というのはどちらもすばらしい。

 夫婦でも同じ事だと存じます。本日の華燭の典、濃抹のうまつな、お二人も本当に素敵だし、いつまでも今日の日のことを忘れないとは思いますが、むしろ明日からは、淡粧たんしょうな普段着の生活が始まります。どうか、晴れの日はもちろんのこと、雨の日にも、お互い自由で闊達なご夫婦であり続け、明るいご家庭を築かれることを願って、わたくしの挨拶とさせて頂きます。乾杯!

 詩の題名は、超有名な「湖上に飲す、初は晴れ後は雨ふる」。宋詩選注(2)より。

 李賀の詩は、以前、「蘇小小の墓」を佐藤春夫の訳詩とともに触れたことがあります。(芥川龍之介―杜牧―李賀―佐藤春夫―平野啓一郎)春夫の訳もなかなかですが、やはり、この詩は、李賀の代表作と言えるでしょうね。

 その後も、宋詩選は少しづつ読んでいますが、早くも休憩

 中唐の鬼才、李賀の詩を読む機会がありましたので、そこらへんの話題を少々...
 李賀と青空文庫作家との結びつきで言えば、なんといっても、李賀の愛読者の泉鏡花でしょう。「春昼」の中では、李賀の詩を引用していますが、不完全なので原文(旧字、一部画像化)と読み下し文(新字)を載せてみますので、参考にしてください。

宮娃歌 李賀
蠟光高懸照紗空 花房夜擣紅守宮
象口吹香毾暖 七星挂城聞漏板
寒入罘罳殿影昏 彩鸞簾額著霜痕
啼蛄弔月鉤欄下 屈膝銅鋪鎖阿甄
夢入家門上沙渚 天河落處長洲路
願君光明如太陽 放妾騎魚撇波去

宮娃歌きゅうあいか 李賀
蠟光 高く懸かり を照らして空しく、
花房かぼう 夜く 紅守宮こうしゅきゅう
象口ぞうこう 香を吹き とうとう 暖かかに、
七星 城にかかりて 漏板ろうはん聞ゆ。
寒は罘罳ふしに入りて 殿影 くらく、
彩鸞さいらん簾額れんがく 霜痕そうこんく。
啼蛄ていこ 月をとむらう 鉤欄こうらんもと
屈膝くっしつ 銅鋪どうほ 阿甄あけんとざす。
夢に家門かもんに入りて 沙渚さしょに上り、
天河てんが 落つるところ 長洲ちょうしゅうみち
願わくば 君の光明 太陽の如くなれ、
わらわはなち うおり 波をちて去らしめむことを。

 意訳的な翻訳は、詩人たちの部屋「宮女伝説」にあります。

 李賀は、唐の「大奥」の現状を「紅守宮」(女性の貞操を守るという残酷な試験薬)というキーワードで告発し、最後には、宮娃歌(女性たちの願い)として、家に帰ることだけを夢見る彼女たちの思いを、躍動するような「波をちて去らしめむ」との表現しています。

 気が向けば、これからも青空文庫の作家や作品での「漢詩」に関する話題を続けたいと思っています。

 前記事から、ちょうど一ヶ月、4月に入り、Firefox 3 β5 が、mozilla-japan サイトで公開されています。正式版まで、秒読み段階になってきた気がします。ただし、

Firefox 3 は Windows 98/ME/NT や Mac OS X 10.2/10.3 といった古い OS では利用できません。

だそうです。(OS X 10.3  Panther あたりも古くなったか

 ともあれ、Windows XP で試用しましたが、さらにウェブの描出が速くなっている感じです。も、一つ、Firefox で、青空文庫などのルビが表示可能な XHTML Ruby Support もバージョンアップされています。ただし、Firefox のバージョン対応が、b5pre までになっていますので、Ver.2.1.2008040101 を当方でちょっと手直ししました。

  • XHTML Ruby Support Firefox 3b5 対応版

 ファイルをダウンロードし、Firefox にドラック&ドロップすれば、インストールされます。(現在は、Firefox 3beta5 に対応しているようです。)このアドオンでは、ルビの位置など細かい設定が出来るようになっており、また、こちらも、体感的にも描出が速くなっているように思います。ただし、ファイルサイズが大きいページ(青空文庫で言えば、長塚節「土」など)では、とたんに重くなり、途中でハングすることもあります。また、Movable Type では、ルビ以外の「定義語」なども表示され、画面が乱れる場合がありますので、煩わしければ、設定し直してください。

 ルビ表示の Another way として、サーバないしローカルでの手持ちのブラウザに、CSS ファイルを組み込むという手段があります。

 うまくいけば、その手順を書こうと思いましたが、Firefox 2 と 3 では微妙にルビつきのテキスト部分がずれてしまうようです。解決できれば、改めて報告します。

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