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宋詩選注から―その 2―結婚式の挨拶と蘇東坡の詩

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 身内の結婚式で、乾杯の音頭とりをしました。晴れがましい席での挨拶は苦手で、いつも適当にして、後で不評を買うのですが、そうしたドジは許されないと脅されて、今回は、予め原稿をしたためました。

 本日は、乾杯の音頭を仰せつかりましたが、その前に一言二言述べさていただくのをお許しください。実は、私こうした席の挨拶では、アドリブでは何を言い出すかわからないと家人から堅く戒められておりますので、今日は原稿を読ませて頂きます。

 さて、新婦の思い出と申しますと...(略)...その子ども達も、一人、二人と一人前になり、家庭も持ち、...(略)...、感慨を新たにしているところです。

 閑話休題はなしはさておき、実は、私、とある下町で町医者を生業なりわいとしています。長年、子どもからお年寄りまで診るこうした稼業をしておりますと、姪や子ども達の成長に合わせて、診ている患者さんも大きくなり、診察に来ていた子どもも最近結婚、その生まれた子どもを診る時など、その若い夫婦に、つい身内を連想し、お説教じみた診療になりがちです。

 また、更に年齢を経て、二人そろって仲良くデイケアに来られる高齢のご夫婦を見ているとこれはこれで燻し銀の光沢が感じられ、先日の結婚式に新婦のお父さんが、白楽天の「比翼の鳥、連理の枝」との詩句をいただきましたが、その思いをいっそう深くしている次第です。


 その白楽天に対抗するわけではありませんが、時代は少し下がりまして、宋の時代の詩人、蘇東坡が、中国の有名な湖、西湖を詠った詩を紹介したいと思います。


水光瀲灔れんえんとして晴れひとえに好く

山色空濛くうもうとして雨も亦奇なり

若し西湖を把つて西子に比せば

淡粧濃抹総て相いよろ

水の色はキラキラ光って、晴れればよい風景である

山の色は薄霞だが、雨の景色も格別である

薄化粧であれ、厚化粧であれ、越の美女、西施に比べてみても、西湖というのはどちらもすばらしい。

 夫婦でも同じ事だと存じます。本日の華燭の典、濃抹のうまつな、お二人も本当に素敵だし、いつまでも今日の日のことを忘れないとは思いますが、むしろ明日からは、淡粧たんしょうな普段着の生活が始まります。どうか、晴れの日はもちろんのこと、雨の日にも、お互い自由で闊達なご夫婦であり続け、明るいご家庭を築かれることを願って、わたくしの挨拶とさせて頂きます。乾杯!

 詩の題名は、超有名な「湖上に飲す、初は晴れ後は雨ふる」。宋詩選注(2)より。

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