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しばし中国古典の名文に酔う―劉勰「文心雕龍」から

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 昨日の赤旗文化欄「月曜インタビュー」に岩波新書「中国名文選」の著者・興膳宏さんの記事が載っていました。 当方も最近読みましたが、インタビューでも紹介されているように、「顕著な社会性を持っている中国文学の特徴を、常にアンダンテ(ゆるやかに)の話し振りで語られている」印象でした。西鶴や芭蕉に大いに影響を与えた李白「春夜 桃李の園に宴するの序」や蘇軾「赤壁の賦」、陶淵明「桃花源の記」など超有名ところの解説ももちろんそうですが、むしろ少しマイナーの劉勰「文心雕龍」の清冽さや李清照「金石録後序」の深い悲しみを説く部分に心打たれました。その「文心雕龍」から引いてみます。

 春秋はこもごも序し、陰陽はいたぶ。物色の動けば、心も亦たゆらぐ。けだし陽氣きざして玄駒げんく步み、陰律いんりつりて丹鳥たんちょうしゅうす。微蟲びちゅう猶お或いはかんに入る。四時の物を動かすこと深し。若し夫れ珪璋けいしょう 其の惠心けいしんぬきんで、英華えいか 其の清氣せいきひいづ、物色の相召あいまねくに、人 誰か安きをん。
 是を以て歲をおさめ春を發すれば、悅豫えつよの情び 滔滔とうとうたる孟夏もうかは 鬱陶うっとうの心る。天高く氣清くして 陰沈いんちんこころざし遠く、霰雪さんせつはて無くして、矜肅きょうしゅくおもい深し。歲に其のもの有り、物に其のかたち有り、情は物を以てうつり、は情を以てはっす。一葉いちようすらあるいは意を迎え、蟲聲ちゅうせいも心を引くにる有り。いわんや清風せいふう明月めいげつと夜をおなじくし、白日はくじつ春林しゅんりんあさともにするをや。

 対句など駆使した六朝美文の典型ですが、個々の語釈を超え、読んでみるとすごく論理的なのに驚かされます。こうした、季節の移り変わりの捉え方は、情緒的、感覚的な日本人のそれとどこか異なるものなのでしょうね。
 なお、引用は、繁體版文心雕龍中央研究院漢籍電子文獻)の白文から作成しました。(Wikisource 中文版にもあります。)

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