
李賀の(初期と思われる)詩に「春晝」があり、泉鏡花の「春昼」「春昼後刻」もここから題を取ったのでしょう。全文を紹介しておきます。
朱城 春を報じて更漏 轉じ
光風 蘭を催 がして 小殿を吹く
草細くして梳 るに堪え
柳長くして練 の如し
衣を卷く 秦帝
粉を掃う趙燕
日は畫幕 を含み
蜂は羅薦 に上る
平陽の花塢
河陽の花縣
越婦 機 を搘 え
吳蠶 繭 と作 る
菱汀 帶を繫 け
荷塘 扇倚 る
江南 情有り
塞北 恨 み無し
原田憲雄氏は、最後の句、「塞北 恨み無し」は、楽観、悲観の両説を挙げながら解説されています。鏡花は「春昼」執筆当時は、ちょうどスランプの時期で、笹川臨風から拝借した李賀の詩集を読み耽ったと言われています。小説の内容からは、この詩の持つ、のどかな春の昼に潜むどこか物憂くペシミスティックな趣きからインスピレーションを得た事を感じさせますね。
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