辻原登「花はさくら木」 ゲット価:700円
芥川龍之介の「木村葭堂」の話題を少し脱線させておきます。木村蒹葭堂サロンができた頃は、田沼意次の台頭期と重なります。辻原登「花はさくら木」が、新聞連載中にたしか田沼意次と木村蒹葭堂の名前がよぎった気がして、今回読んでみました。近頃は、意次はむしろ開明的な政治家であるとの評価の方が有力になっているのでしょう、この小説でも、その線での田沼像です。その「重商主義」的な政策から、大阪の大商人鴻池と手を結ぼうとします。その権謀術数の中、敵味方相乱れて、公家皇室はじめ、朝鮮使節など多彩な人物が登場します。木村蒹葭堂も、その一人ですが、むしろ、上田秋成や蕪村、俳人の炭太祇などサロンの周辺にいた文人が、それなりに活躍します。木村蒹葭堂は、点景人物の一人といった感じで、ちょっと残念。木村蒹葭堂は、田沼失脚後もサロンとして賑わいましたが、松平定信の「寛政の改革」のあおりで、弾圧を受けますが、また別の形で、商家を再興されるあたり、大阪商人のしたたかさがバックボーンに持っていたようです。しかし、没後はその膨大なコレクションは、(芥川の冗談で言えば「クレオパトラの金髪も含めて」)幕府に没収されてはしまうのですが…
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